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ブログ 文月 令和五年〜香川県香川郡直島町 アートによる地域再生と自然環境の保全と建築の関わり 2023.07.17
失われた美しい自然を取り戻すべく、1987年からベネッセグループによる瀬戸内海に浮かぶ直島、豊島、犬島を舞台に現代アートを核とした自然と地域をつなぐ活動が行われ、2010年からは「海の復権」をテーマに瀬戸内国際芸術祭が3年毎に開催されている。
今でこそ、アートによる地域再生はある意味で常套手段との認識ではあるが、この活動を一企業で30年以上前から毎年企業利益の数%を拠出して継続していることに驚きである。
高度経済成長期以降の日本全体の急速な工業化・近代化や都市の一極集中化により、環境汚染や自然破壊という負の遺産を背負わされる側面があった。
実は、1934年に日本で最初に国立公園に指定された美しい景観誇る場所であったにも関わらず、豊島では1970年代から日本最大規模の産業廃棄物の不法投棄事件が続き、ようやく今年3月に約20年に及ぶ処理事業が完了。また、犬島では1900年代初めに国策で作った銅の製錬所が、銅価格の暴落でたった10年操業で廃業となり、医療廃棄物処理場建設の話もあり、過疎化と高齢化が深刻化してきた。
今回は天候による船の欠航により、残念ながら豊島、犬島の再生状況を視察することは出来なかったが、楽しみはまたの機会とすることにした。
さて、本題の「ベネッセアートサイト直島」について、簡単に紹介しよう。
左から順にギャラリー、銭湯、カフェで、いずれも古家をアート作家が改装して転用した建物で、町民や観光客に利用されている施設。
同様に、左からThe Naoshima Plan「水」、「家プロジェクト」の一部「護王神社」。
また、公共施設も島アートに共感した建築家が設計した施設で、左から順に、直島町役場、直島ホール、本村港駐輪場。
そして、「ベネッセアートサイト直島」の総本山は、この「ベネッセハウス/ミュージアム」で美術館とホテルが一体となった「自然・建築・アートの共生」 した施設。1992年からの開業で、以降は建築家安藤忠雄と共に直島の発展に貢献。
杉本博司ギャラリー時の回廊。神奈川県小田原市の江之浦測候所(私のブログ「令和五年弥生」にも掲載)が生まれるきっかけとなった作品。
宿泊施設ベネッセハウス4ヶ所62室のうち、一番海に近く屋外アートに囲まれている「ベネッセハウス/ビーチ」。
いずれにしても、一企業グループが町民と共に自然を守りながら、複数の建築家やアーティストが協力を繰り返し、文字通り「ベネッセ」(ラテン語で「よく生きる」)を体現した島をつなぐ持続可能な街づくりに今後も見守りたい。大事なことは、島を観光地にすることではなく、島の人々にとって住みよい環境が一番であり、自主的に地域の活性化に繋がっていくことだと思う。
そして、豊島行きのフェリーの欠航を教え親切にご案内して頂いた町民の方に、あの時と同じ本村港(無人港)9時37分発の豊島フェリーに乗船した僕を、今度こそ見送っていただきたい。
最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
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▼アトランテ株式会社
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